釘の話
釘には、鉄を槌でたたいて四角に作る和釘と呼ばれるものと、線材を材料として機械で作る洋釘と呼ばれるものがあります。
この洋釘が現在一般的 に使われている釘です。
和釘
昭和23年に法隆寺の金堂が解体修理されましたが、その時、飛鳥時代のものと思われる和釘がたくさん発見されました。
これが日本で使用された最古の釘と言われています。
創建当時は刀同様、鍛造によって作られており、釘を作る鍛冶屋は「釘鍛冶」と呼ばれていました。
1300年以上もの長い年月、大きな木造建築をささえ続けて来たなんてすごいと思いませんか?
法隆寺
洋釘は明治初期に輸入された後、どんどん浸透して行き、反対に和釘は衰退していきました。
そして明治20年代までには一般の住宅で使用される釘は全て輸入の洋釘に変わっていきます。
日本における洋釘の製作は明治30年に安田工業が深川に製釘工場を作ったのが始まりとされています。
これに伴い、八幡製鐵所が線材(釘の材料)を生産開始しました。
釘には材質の他、太さや長さの違う種類があり、建築工法によって、使用する釘の長さや太さだけでなく、配置の間隔も規格として定められています。
私たちが安心安全に暮らす上で重要な存在である「釘」
昔からさまざまなことわざや慣用句としても使われてきました。
糠に釘
軟らかい糠に釘を打つように、手応えがなくて効き目がないことの喩え。
釘付け
物事などに夢中になり、その場から動かないさま。
釘が利く
「釘が応える」とも。明白な効果があること。
釘を刺す
言い逃れが出来ないよう念を押すこと。
※釘なのに刺す?
昔使われていた釘は、「和釘」と言い、 現在使われている「洋釘」より大ぶりなため、 鑿で木に穴を穿って、それから釘を差し込んだそうです。
そのため、「釘を刺す(差す)」と言ったようです。
釘になる
手足が凍えるさま。
釘の裏を返す
念を押すことを指す。
焼け跡の釘拾い
さんざんやりたい放題をしたあげくに、にわかにけちけちすること。
たくさんありますね。
ところで、笑い話ですが、若い頃、お正月用に黒豆を煮ようと、大工さんに錆びた釘があれば分けて欲しいとお願いしたことがあります。
大工さんは怪訝な表情で「大工は釘を錆びさせたり、錆びた釘を使ったりはしないよ」と・・・💦
確かに、そうですよね。
R.