住宅まめ知識ー軒と庇

軒(のき)と庇(ひさし)の違いはご存じですか?

 

軒(のき)は、屋根の下部の突き出している部分の事です。

 

軒の一番先端を「軒先(のきさき)」と呼び、軒の裏側を「軒裏(のきうら)」、軒の下になる場所を「軒下(のきした)」と呼びます。

 

 

屋根の延長上にある軒の長さは、建物を雨から守る役割と同時に、強い日差しから家の中を守る際に関係します。

 

また、深い軒を設けることにより、半分屋外でもあり半分屋内として利用できる、「中間領域」と呼べる軒下空間を造り出すことが出来ます。

 

 

田舎では軒下に野菜や果物をつるして干しているのを見かけますよね。

 

 

 

一方、庇(ひさし)は、窓や扉などの開口部の上にある小さく出ている部分です。

 

 

 

庇にも「下屋(げや)」「土庇(どびさし)」「眉庇(まびさし)」「霧除け(きりよけ)」と、いくつかの種類があります。

 

下屋は屋根とは別に一階の部分に設ける庇のことです。

 

 

土庇は柱を建て、土間の上に大きく被さるように造られた庇。

 

 

眉庇とは、窓の上に小さく設けられた簡易的な物をこう呼び、霧除けもほぼ同じ形をしています。

 

 

ただし霧除けの場合には、窓の横側に小さな袖壁を設け、雨や霧が窓から入って来ることを防ぐことを目的とした物もあります。

庇は窓の直ぐ上に設けるので、出の長さが短くても意外と日除けの効果があります。

 

今では少なくなりましたが、車の窓にもドアバイザーという庇のような役割を持つものを付けているものがありますよね。

 

 

日本住宅の軒や庇がより深く(長く)建てられて来た理由は、深い軒や庇には、夏の真上からの陽光をさえぎり暑さを抑えつつ、冬の斜めからの陽光は室内の奥まで取り込むという効果があるからです。

 

店舗などでよく見かけますが、折り畳み式や巻き上げ式の日除けを使って代用することもあります。

 

 

 

 

一般住宅で庇がもっともよく設けられる場所は玄関です。

 

 

デザイン上庇をつけていない住宅でも、玄関だけは庇を設けるか、あるいは玄関ドアを外壁から奥まって設けることが多くあります。

雨の日にも出入りの際に傘を差したり畳んだりする手間がはぶけますね。

 

R.